18 スーパー理論によるキャリアの全体像
米国コロンビア大学名誉教授であったD.E.スーパー(1910〜1994年)は、「キャリアとは、人生のある年齢や場面のさまざまな役割の組み合わせ」であるととらえた。そして人々は、自分にとって重要な価値観を、仕事あるいはほかのライフ・ロール(役割)において達成しようとするということを実証した。具体的には、下表の八つの役割について、「職場」、「家庭」、「地域」、「学校」を舞台として演じているという。
スーパーによると、人々は、生涯を通じて八つの役割を、一つあるいは複数を並行して演じ、毎日を送っている。多くの社会人は、職業人としての役割に没頭しすぎたり、没頭せざるを得なかったりし、配偶者あるいは家庭人、親としての役割がおろそかになる傾向を持っている。そのため、限られた人生という時間の中で、相互に影響し合うそれぞれの役割に、どれだけの時間を投じ、全体としてうまく回っていくようにバランスを取ることが求められる。いわゆる「ライフ・ワーク・バランス」という視点が、「将来のキャリア」を設計するに当たって大切なものになっている。
役割
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説明
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子ども
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親との関係における自分、親に対して注がれる時間のことを意味する。小さいころは、子どもとしての役割がほとんどを占めている。 |
学生
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学ぶという立場にいるのが学生。小・中・高、大学はもちろん、働きながら夜社会人大学院などに行く人もまた学生の役割も兼ねている。 |
職業人
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文字どおり、仕事をやるという立場。アルバイトなども立派な職業人としての役割である。 |
配偶者
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夫、妻の役割。法律上の夫婦でなくても、ともに生活を送るパートナーとしての役割である。 |
家庭人
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親元を離れてから始まる役割。家事全般をやる役割で、多くは女性が主婦と呼ばれて担当するが、男性がやることが多い日曜大工的なことも、家庭人としての仕事である。 |
親
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子どもを持ったときから始まる役割である。 |
余暇人
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文字どおり、趣味やスポーツなど、好きなことをして楽しむ立場、それに費やす時間のことである。 |
市民
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スーパーは、市民を無給のボランティアを行う役割としている。社会を構成する一員として、社会に貢献をするということである。 |
ペー
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代表取締役 砂田好正