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13 シャインのキャリア・アンカー


 シャインは「心理的契約」を『組織心理学』の主要テーマにしている。その定義を、「組織において従業員と雇用側マネージャーおよびその他の構成員とのあいだで作用する成文化されない期待感」としている。シャインは、労使双方に利益となるような長期的関係を構築したければ、双方の期待が釣り合うことが大切であると主張する。
 心理的契約に密接に関係しているのは「キャリア・アンカー」の概念である。これは個人のキャリアの選択に影響を与える指針となるもので、個人の自己認識に基づくものである。人間はさまざまな抱負やモチベーションから、おそらく無意識のうちに心の底に一つのキャリア・アンカーを形成し、それをなかなか放棄しようとはしないとシャインは考えた。

シャインのキャリアに関する理論
(1)自己概念(セルフ・イメージ)の大切さ
 シャインは、自己概念(自分自身についての認識、つまり自分とは何者か)が非常に大切なものだと主張した。この場合の自己概念とは、次の3つを示している。
 @自分は何が得意か(能力・才能)
 A自分は何がしたいのか(動機・欲求)
B自分は何に意味や価値を感じ、自分が役立っていると感じられるか(意味・価値)

(2)自己概念としてのキャリア・アンカー
 シャインは自己概念を探索する場合に有用なものとして、キャリア・アンカーという概念を打ち出した。すなわちキャリア・アンカーとは、個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない欲求、価値観、能力などのことで、その個人の自己像の中心を示すもの。個人のキャリアを船に例えた場合、それをつなぎ止める錨(いかり、アンカー)としての働きを示すもののことである。
 シャインは、「欲求と動因の基本的な組み合わせが、効果的なキャリア・アンカーとしての役割を果たす。それはキャリアの選択に影響を与えるだけでなく、転職にも影響を与え、その個人が人生で見つけたいと思っているものを形づくり、未来への展望、関連する目標と対象の総合的な評価を特徴づける」とした。そして、シャインは研究に取り組み、社会人数百人を対象にしたインタビューに基づいて、キャリア・アンカーは八つの種類に分けられるとした。
 キャリア・アンカーは、社会人になるまでは、学校教育に加えて、両親や兄弟姉妹などの働き方を見たり、聞いたり、あるいは学生時代のアルバイト経験などを通じて、ある程度は形成される。しかし、自分のキャリア・アンカーがより具体的に分かってくるのは、社会人として実際に仕事を経験してからである。20代のうちは、自分の適性がなかなか分からないもの。さまざまな仕事にチャレンジして成功したり、失敗したりしながら、自分のキャリア・アンカーが少しずつ分かってくるのである。

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